ツバメが伝える“春の訪れ”



3月に入ると、バードウォッチャーには春の訪れを感じさせるものが桜のほかにもう一つあります。 ツバメです。
ツバメは3月から4月にかけて日本へ飛来して子育てをし、秋になるとまた南に渡っていく夏鳥です。
全長17cmで翼が長く、先端が大きく2つに分かれた長い尾羽をもつその姿は、ほかの小鳥などに比べると、より飛ぶことに特化した体形を感じさせます。 
全身が黒っぽく見えますが、よく観察するとお腹は白く、額と喉が濃い赤色をしています。



日本から2,000km以上も離れたフィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどから繁殖のために渡ってくることが標識調査(※1)からわかっています。
小さな体が2つの翼を使って大海原を越えてくることに、地球の不思議と野生の命の輝きを感じずにはいられません。


初見日をチェック


気象庁では生き物の出現による季節の変化のデータを取っており、ツバメはその年初めて見られた初見日(※2)を発表しています。
インターネットで気象庁のHPを見ると、ツバメ初見日のデータがありますので、自分の住む地域にいつごろツバメが来ているか、チェックしてみましょう。


気象庁 ツバメの初見日pdf


このデータを見ると、私の住む地域では3月31日-4月10日となっています。
自分で初見日の記録を取ってみると、3月20日〜3月23日に集中しています。
専門の方にお聞きすると、ツバメは渡ってきた後、栄養を補給しやすい餌の豊富な川の近くにいることが多いとのこと。
私の住む地域は川が近くにあり、飛来してすぐに観察できることが少し早まった理由ではないかとのことでした。
しかし、「神戸さんは鳥に興味があるので、見つけるのが早いのも一因だと思いますよ」とも笑いながら最後に付け加えられました。



旅の途中



実は早春に上空を飛び回っているツバメには、まだ旅の途中でさらに北上する個体も混じっています。そのため、街の中や民家の近くにまで飛来し、電線に止まって巣を作る場所を探しているツバメが観察できた日が重要とする考え方もあり、「軒先で止まる姿を見た日」を調査している団体もあります。 

NPO法人バードリサーチ ツバメかんさつ全国ネットワーク


毎年春に手帳を持って自分のすむ街を歩き、いつ、どこで「飛び回るツバメ」と「止まっているツバメ」を見たか、記録していくのも楽しいと思います。もしお時間がありましたら、ぜひこのバードリサーチが行っているツバメの調査へのご協力もお願い致します。




最初は電線に止まる姿を観察しよう



ツバメの飛ぶスピードは大きさの近いスズメシジュウカラなどに比べると速く、双眼鏡で捉えるのがとても難しいです。



そこで、ツバメの飛んでいる姿を見かけたら、近くの商店街などへ行って電線に止まる個体がいないか探しましょう。
ツバメは人間に慣れていることが多いので、ほかの鳥に比べると近づくことが容易で肉眼でも十分観察できますが、ツバメを改めて双眼鏡で観察すると「ツバメはこんなにかわいい顔をしていたのか!」と思われるでしょう。
肉眼でわかりにくい頭の赤い部分の模様などもしっかり確認できます。



しばらく観察していれば、小さな脚で頭をかく仕草なども見られるかもしれません。





飛んでいるツバメを“キャッチ”しよう



鳥を観始めたころ、飛んでいるツバメをすぐに双眼鏡で捉える観察会のリーダーの姿に憧れて、私は必死で練習をしました。
最初はうまくいきませんでしたが、場所を選んで飛翔するツバメを捉える訓練するようになってから、上達が早くなりました。
最初に選んだのは、まっすぐな川や水路などの近くです。




ツバメは飛びながら大きな口を開けて飛んでいる虫を捕まえます。



水辺はユスリカなどの虫が発生しやすく、ツバメにとって格好の採餌場所となり、川に沿って水面近くを往復しながら飛ぶことが多いのです。
流れがまっすぐな川や水路では、飛行する範囲が限られ、ツバメの動きを捉えやすくなります。
橋の上や川岸で良い場所を見つけましょう。


まずは飛んでいるツバメを肉眼で追い、ツバメの飛行速度や飛び方にしばらく目を慣らし、次にツバメを双眼鏡に挑戦すると良いでしょう。
倍率は8倍の視野が広い双眼鏡がお勧めです。ツバメの飛行を予測して1秒以内に双眼鏡の視野内を通過するような位置に双眼鏡を据えるのがコツ。
入って来なければ、すぐに双眼鏡を目から外してやり直しをしましょう。

もし近くに川などがなければ、広い芝生のある公園も練習にはよい場所です。
一番いいのは曇った日です。
曇った日は虫が草の丈に近い場所をいるため、低く飛ぶので双眼鏡を向けている位置がわかりやすく、上空を飛んでいるツバメより双眼鏡で捉えやすいのです。




広場のベンチなどに座って草の上を飛ぶツバメを目で追いながら、先ほど書いた“1秒先読み”をして双眼鏡で捉える訓練をしましょう。
いずれ、どんな条件でもツバメの飛翔を捉えられるようになると思います。




この方法をマスターすると、タカやハヤブサといった高速で飛行する鳥を双眼鏡に入れることはまったく問題なくこなせるようになります。猛禽類の観察をしたい人は、まず飛んでいるツバメでしっかり練習しておきましょう。




つがいになった2羽



電線に2羽で仲良く並ぶ姿を見かけたら、これは夫婦になったツバメであることがほとんどです。



雄のほうが頭や背中の光沢が強く、尾羽が長いのですが、止まり方や光の条件に恵まれないとわからないことがほとんどですので、雌雄の見分けは慎重にしたほうがよさそうです。

左が雄



夫婦は、のんびりとひなたぼっこや羽づくろいをしている時間が多いのですが、パートナーをまだ見つけられていない雄が雌を奪おうと邪魔をすることがあり、そういうときは上空での追いかけっこなどの争いが起きます。







泥を使って巣作り



ツバメは民家の軒下など、人の行き来が多い場所に巣を作ります。泥や枯れ草を唾液と混ぜて固めて、お椀型にしていきます。




郊外では田んぼなどで泥を集めてくる姿がよく見られます。



しかし、都会では巣材集めがとても難しくなっていて、道路沿いなどで巣材集めをしている姿を見ることも増えています。
しかしこのような場所は非常に危険で、交通事故に遭うツバメが実際は多くいるのではないかと思っています。







元気な雛の声に、ほっこり



巣が完成して雌が卵を産み、雛が孵ると親は忙しくなります。親は雛へ餌を運ぶために空を飛び回り、空中で虫を捕えて運びます。



そんな親鳥のおかげで雛はすくすくと育ちます。



巣立ち間際には巣からはみ出ることもしばしばです。



親鳥が巣に戻ってきたときは雛が親鳥に餌をねだる声でにわかに賑やかになり、ちょうど下を歩いていたときには驚きますが、すれ違った方とそれがきっかけで会話になっていることもあり、ツバメの雛はほのぼのとした街の雰囲気を演出してくれます。巣立った後は、飛翔が上手になるまでは、親が餌を運んでいる光景が見られます。




人のそばに棲むことを選んだ野鳥



ツバメは人のそばに生きることを選んだ鳥で、人家以外に営巣の例はないとされています。
理由はカラスやヘビなどの天敵から逃れるためですが、人間にとっては害虫を食べてくれるので利害関係が一致したため、追い払われることもなかったのでしょう。
また、ツバメが巣を作る家は繁栄すると言われ、ツバメが巣を作りやすいようにする家も増えていきました。



四国の山間にある道の駅を訪ねたときのことです。
早朝から店を開けているコーナーがあり、そこにツバメが巣を作っていました。
お店の方に伺うと毎年やってくるが蛍光灯の上だけは困るので、そこにはビニールをかけて巣材の泥をつきにくくしているそうです。
巣を作る場所が年によって違うので、巣を作ってから雛の糞を除ける台を設置しているとのことでした。



毎年やってくるツバメがかわいくて仕方がないというお店のおばさんの笑顔がとても素敵でした。




ツバメへのまなざしは世界共通!



ツバメを有益な鳥とみるのは日本だけではないようです。
いろいろな国へ鳥との出会いを求めて旅する私ですが、ヨーロッパ各国、フィリピン、ネパールなどでツバメを見かけ、そのすべてでツバメは人家に巣を作っていました。 

ツバメがきっかけの交流もありました。
フランスでは双眼鏡を持って歩いている私に「ねぇ、見て。今日我が家のツバメの雛が孵ったのよ!」とニコニコしながら私を呼び止めて教えてくれたおばあさんがいましたし、英国では観光地のレストランで雛に餌を運ぶツバメを観察していたら、ふと小さな男の子が私の隣にやってきて一緒に眺めながらおしゃべりしたこともあります。ツバメが繋いでくれた人々との会話は、今も私の大切な思い出です。




最近のツバメの住宅事情



しかし、残念ながらツバメが巣を作ると泥や糞で家が汚されるということで、せっかく作った巣を落とす場所が最近増えてきました。



巣作りの場所を失ったツバメが次に目を付けたのが、24時間人の出入りがあり、天敵のカラスやヘビなどの心配が少ない高速道路のパーキングエリアや道の駅。
しかし、ここも苦情が出ることがあるのか、巣を作るとすぐに除去される例が増えてきています。




また、壁面に汚れのつきにくい塗装に変えてツバメが巣を作りにくいようにしていたり、網を張る場所も出てきました。
しかし、ツバメも辛坊強い生き物。微妙なバランスを保って網の上に作られた巣を見つけることがあります。



一方、ツバメとの共存を目指すケースもあります。巣の下に通行の注意を促すコーンを置いたり、




糞の落ちる場所に段ボールを敷いていたり、



巣のすぐ下に板を設けて下に糞が落ちないようにしています。



場所によって対応が違う理由がはっきりとはしませんが、ツバメの巣を大切にしている休憩所では、管理をしている職員の方々のやさしさが感じられて、ついついお店のお買い物も奮発してしまいます。




野鳥との共存の試金石



実は私の家でも数年ツバメが営巣していました。
ツバメが巣を作り始めると玄関先にはいつも巣材の泥が落ち、日の出前から大きな声がしてちょっとやかましいくらい。
雛が大きくなれば糞の量がものすごく増え、毎日の掃除も手間がかかりました。
買ったばかりの私の車に雛の糞が載っていることも頻繁にあって困ったものでした。雛のかわいい顔を知っている鳥好きの私でもこのように思うのですから、そうでない方が巣を除去したくなるのも当然だと思いました。




しかし、ツバメがいることで人の目が向けられることも増え、防犯効果も上がっていましたし、ツバメがきっかけでご近所さんとの会話も増え、コミュニケーションもそれまで以上にスムーズにいきました。多少の手間を受け入れることでメリットもたくさんありました。

正直に申しますと、ツバメの巣のある生活は、いろいろ手間が増えて一時はツバメを少し嫌いになりました。
野鳥が好きと公言していたのに、実際に自分の領域に深く野鳥が入ってきたときにはその不都合を受け入れないのは、ずいぶん身勝手な感覚だと反省をしました。

ツバメの巣経験者の1人としては、今はツバメの営巣に対しては「人間が少し心に余裕を持てばいい」と思っています。
泥や巣から落ちた糞は、洗えばすぐに綺麗になります。
壁や玄関のタイルも交換が必要になるほど傷むこともなく、車の上に落ちた糞も濡らしたティッシュで少し軟らかくしてから拭き取れば、何も問題はありませんでした。
ツバメが卵を温め始めてから雛が巣立つまでたった35日程度です。
そのくらいの期間、鳥がそばにいる生活は、そんなに悪いものではないと感じています。

ツバメの巣を自宅で眺める時間をもってから、ツバメの営巣で起きるいろいろな手間を受け入れられるか否かが、その人自身やその街、その地域社会の野鳥との共存の試金石になるのではないかと思っています。
このくらいの手間ならいいよという方や地域を増やしていくことが、野鳥全体の保護の理解につながるのではと思っています。





数年前、家の壁を塗り直してツバメが巣を作りにくくなったので、いつツバメが戻ってきてもいいように、巣台を取り付けています。



しかし、残念ながら今のところ戻ってくる気配はありません。いつか帰ってきてくれることを待ち望んでいます。



鳥たちとの出会いを大切に



3年半続いたこの連載も、今回のツバメで終了です。

飛翔するツバメが双眼鏡に入れるようになれば、すでに双眼鏡の使い方はマスターしたも同然です。
そして、それは鳥の生態や種類をいろいろ観察した経験があることにもなり、ご自身で野鳥を見つける力も十分備わっていることでしょう。
また、自分で野鳥について調べたり、鳥の好きな環境に行くと、目でいつのまにか鳥を探しているくらいになっているはず。
そうです、もう“ビギナー”ではなくなっているはずです。
ひょっとすると、どこかで誰かがあなたの野鳥を観察する姿を見て、「バードウォッチングは楽しそう」と思っているかもしれません。 

野鳥を観察するために特別な技術はいりません。
双眼鏡を使いこなすにはちょっとしたコツをつかめばいいだけです。
自然の声に耳を傾け、鳥の住まいにお邪魔しているという謙虚な気持ちでいれば、きっと鳥たちのほうからよってくるでしょう。

これからもぜひ野鳥との出会いを楽しみ続けてください。
本当にありがとうございました。


4月からは、新連載が始まります。こちらもぜひご覧ください。




撮影地:
茨城県(龍ケ崎市)、神奈川県(綾瀬市、海老名市)、高知県(四万十市、須崎市)、東京都(足立区)、埼玉県(入間市)、静岡県(伊東市)、千葉県(酒々井町)、東京都(八王子市)、徳島県(阿波市)、新潟県(上越市)、三重県(伊勢市)




※1:鳥の足に番号を刻印した金属のリングなどを装着して放し、再び捕獲されたり死体として回収されたときにその番号を読み取り、鳥の移動や生存期間などのデータを蓄積していく調査。

※2:バードウォッチャーは、その年に初めて対象の鳥を観察した日を「初認日」といい、名称が少し違っていますが、意味は同じです。



お勧め機種
ツバメは飛ぶスピードが速いので、双眼鏡で捉えるには視野の広い8倍のものが良いでしょう。止まっているツバメの観察で望遠鏡や双眼鏡を使う時は偶然でも人家の窓などが入らないように気をつけてください。また、一般の方の通行の邪魔にならないように、三脚の置き方には十分配慮をしてください。



<双眼鏡>
エンデバーED II シリーズ

エンデバーED IV シリーズ

<スコープ>
エンデバーHD 65S (直視型)
エンデバーHD 65A (傾斜型)




緑色のホオジロ、アオジ



秋から冬にかけて、里山は小鳥たちがたくさん越冬に来ているのですが、そのなかでも今回は茂みの中が大好きな鳥、アオジを紹介します。
大きさはスズメほどのホオジロの仲間で、頭部が濃い緑色です。



アオジの“アオ”は以前紹介したアオゲラ同様です。雄は嘴の根元から眼の周囲までが黒っぽく、雌はやや色が淡く、眼の周囲が黒くありません。





ホオジロの胸から腹は褐色味がありますが、アオジはお腹の黄色があざやかです。




アオジを見るなら、これからの季節!




アオジは北海道から沖縄まで記録のある鳥です。
春から夏は北海道の平地や本州の高地などで子育てをしており、秋になると観察しやすい身近な環境にやってきます。

しかし、初秋のうちは警戒心が強くて茂みの中に潜んで出てこなかったり、人の姿を見るとあっというまに飛び去ってしまいます。
1月に入ると少しずつ環境に慣れてくるようで、薮から姿を見せるようになり、2月から3月は観察がしやすくなります。





ツグミシメなども同じような行動をしますので、きっと森林などで越冬する鳥たちの基本的な習性なのかもしれません。


冬枯れの里山へ


アオジに出会うためにチェックする里山の環境は、薮などが近くになる谷戸(周囲を雑木林などに囲まれた平地のある場所)のある環境。
多くのアオジが餌を探してやってきます。
秋に比べ警戒心が少しずつ薄くなっているとはいえ、無防備になるわけではないので、いざというときに逃げ込める場所があるほうが彼らにとっては居心地がいいようで、周囲を林に囲まれていて、枯れた草が茂っている場所ではしばらく静かにしてみましょう。



冬の間は木の高い場所に止まることは少ないため、目線は低い場所を中心に目を動かすと発見が早くなります。






か細い声と草が揺れる音、そして雪解け




茂みの中で、かくれんぼをしているようなアオジの姿を何の手がかりもなく探すのは難しいので、出会いのコツをお伝えします。
まずは、か細い「チッ」という小さな声が聞くこと。散策路で静かにたたずんで、耳をすましましょう。
何度か声がしたら、キビタキの回で紹介したように声のしたところを中心に視野を広げるようにして、アオジが動いて草が揺れるときに出るカサカサ音や、枝や草の揺れ動く様子を待ちます。




動きがあったら、そこに双眼鏡で探し、すぐに見つからなければ、肉眼での探索にすぐに戻りましょう。
また、茂みの中に逃げ込んだり、潜んでしまうアオジはいつまでも追うことはせずに、全身がほぼ見えるような場所に出てきているアオジをしっかり観察するようにするのが良いでしょう。
アオジに会う上で大事なことは、アオジが見えにくい場所に止まっても移動しないことです。
動いてしまうと、警戒して薮の中へすぐに逃げていってしまうのです。
見やすい場所に出る機会をじっと堪えて待ちましょう。







もしそれでも見つけられないという方は、雪が降るのを待つことをお勧めします。雪が少し溶けて少し地面が見え始めたころが狙い目です。






背中の保護色は見事




アオジの黄色いお腹は、遠くからでもわかるくらいの鮮やかさがあります。




それにひきかえ、背中側は何とも地味な模様です。



アマチュア野鳥カメラマンも、アオジを撮影していると「こっち向け!こっち向け!」と呟いている姿をよく目にします。

しかしこの背中側の地味な色彩は彼らにとっては何よりも大事なもの。
以前、アオジを観察しているときにハイタカという猛禽が空を飛んだとき、急に地面に伏せてじっとしたのですが、そのときに私は一瞬アオジの姿が消えたようにみえました。
見つからないように一切の身動きを止めたことで周囲の色と溶け込んでしまい、私は望遠鏡に捉えたままのアオジの居場所がわからなくなったのです。



保護色の素晴らしさを実感しました。このときから、アオジの後ろ姿にも私は敬いの気持ちを持つようになったのですが、不思議なことにこの出来事以降、地面にいるアオジを見つけるのがうまくなったように感じています。



茶色いアオジがいる?




アオジを里山で観察していると、大きさや色合いがアオジによく似た模様の茶色っぽい小鳥に会うことがあります。
これはカシラダカという、別のホオジロの仲間で、アオジと同じように冬に里山などへシベリアから渡ってくる鳥です。
脇の斑が茶色でお腹が白いことがアオジと大きな違いです。



「チッ」という声もアオジとよく似ているので、初心者が声の聞き分けで非常に迷う種類の一つですが、“アオジではない鳥もいる”という意識を持ちながら野外を歩くことで、識別力の上がり方は格段に速くなります。
もし余裕があれば、カシラダカの発見もチャレンジしてみてください。



春の気配とともに




3月になって暖かい日が続くようになると、アオジの行動に変化が現れます。
陽射しが気持ちのよい朝などは木の枝先に止まる姿をよく見かけるようになります。



これは雄によく見られる行動で、この変化の真相は、繁殖に向けてさえずりの準備をしているようです。
冬の間は薮でコソコソとしていたアオジですが、雄は繁殖地では枝先に目立つように止まって、美しい大きな声でさえずります。



この姿を実際に見ると、季節による行動の大きな差に頸を傾げたくなりますが、その2つの顔を持つことを含めて、アオジという鳥の生き方なのです。
この冬、アオジに出会えたら、ぜひ夏の高原や北海道にも足を運んで、彼らの“もう一つの顔”を観察してみてはいかがでしょう。


撮影地:
神奈川県(座間市)、群馬県(館林市)、埼玉県(入間市)、千葉県(市原市)、長野県(長野市)



お勧め機種
アオジは暗い場所や薮の中など見つけにくい場合もありますので、双眼鏡は明るいレンズを搭載したEDⅡシリーズでの観察が最適でしょう。
望遠鏡で捉えるには直視型のほうが便利でしょう。
同じ場所でさえずる姿も見られる繁殖地での観察は、傾斜型のほうが体勢に無理がなく、疲れを感じにくいのでお勧めです。

<双眼鏡>
エンデバーED II シリーズ


<スコープ>
エンデバーHDシリーズ
エンデバーXFシリーズ



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